2012年10月19日金曜日

FIMのレギュレーションを原文で読む

【2019/2/24 更新】リンク切れ他情報修正

各種、バイクのレースレギュレーションを原文で読むと面白い。

FIMのサイトには、1992からのアーカイブが揃っているので見るとそれなりに面白いです。
フランス語のリリースと、英語のリリースが並行しているので多少見にくいですが。




公式文書はここから全て見れますが
http://www.fim-live.com/en/fim/fim-official-documents/
http://www.fim-live.com/en/library/ 
分類が細かいのでもう少し絞ると

【以下、リンクはページの構造が変わって見れない】

レギュレーション。年末~3月ぐらいになると、公認車両とか新しいレギュレーションとかが発表されるのはここ


プレスリリース。ルール改定とか、広くしらしめる内容はここ


とりあえず、この2つを抑えておけば十分楽しめる。

他には、

特別規則


ほかにもいくつかあるけど、最近で面白いのはMOTO3の公認パーツ。

いろんなサプライヤーがMOTO3用の部品を作っていて、パーツリストとか図面とか乗ってます。


ホンダエンジンのパーツリストとか

EVRのスリッパークラッチとか

suterのクラッチ。こっちはダイアフラム式なんだな。

TSRのファンネル

他にも価格表とかおいてあります。
好きな人には面白い

2013 ワールドスーパーバイク ルール改定

FIMから、来年のSBKのルール変更のプレスリリースが出たのでざっくり翻訳してみました。
原文:http://www.fim-live.com/fileadmin/alfresco/Superbike_Commission,_17_October_2012.pdf
*簡易翻訳版は、記事の最後に添付



ポイントは、2気筒1200ccの性能調整に関する部分、ピットインしての作業が可能、17インチ化。


1.性能調整

最低車重について、2012までは、
3,4気筒165kg
2気筒 171kg
でしたが、これがとりあえず両方共165kgになります。

以降の性能調整ルールは、今まで通りで3イベントごと(WBSKは2ヒート制だから、こういう表記)に、4気筒1000ccと2気筒1200ccのそれぞれ上位2名のライダーの獲得ポイントの合計を基に調整されるのは変わりがない。

ここいら辺は、ややこしいのでそのうちまとめるかもしれません。


2.ピットインでの作業

基本的に、天候が変化してもレースは中断せず、ピットインしてタイヤ交換する。
ってことは、耐久みたいに前後ホイールのクイックリリース機構が必要になるね。
作業できるのは、腕章を付けたメカニック3名。
8耐の場合は、4人だからちょっと厳しい。
更に、腕章メカニックにホイールとか工具渡したりするのはできない。
8耐の場合、同時に触れるのは4人で援助に対しては規制がないから、新しいホイール渡す人とか受け取る人が4人の他にいるんだけど、これができない。
しかも、3人だし。人員配置的に、リアの片持ちのほうがちょっとだけ有利かな…

3. 17インチ化

以前より予告されてたけど、いよいよ17インチ化。しかもアルミホイール使えということ。
JASOに準じていないといけないので、ノーマルホイールってことだね。
リアの幅も6.00インチまでなんで、タイヤもだいぶ変わるけどもともとワンメイクだし。



簡単にまとめるとこんなかんじですかね。ダミーヘッドライトとかは割とどうでも良いと思う。
ただ、パニガーレはせっかく目立たないようにヘッドライトをフェアリング下の面に隠したのに....

先日のアラゴンでのテストは、すでにこの13年ルールを取り入れた使用での走行だったようですね。


ちょっとよくわからないのは、2012までの2気筒に課せられていたφ50mmのリストリクターは、一回チャラになるのかどうか?
この規則は、
2.4.8.1.2 Air restrictors for 1200cc 2 cylinders
に規定されていて、これについては触れられていないから、引き続き50mmのリストリクタは課せられると考えるべきだろうな。

いずれにせよ、2気筒勢は車重が165kgになったぶん、多少戦闘力が上がるかな。
1198で継続させるチームもあるかもしれない。










スーパーバイク、スパースポーツ、スーパーストック
レギュレーション変更


2013/1/1から 適用

スポーティング・レギュレーション

・グリッドポジション 3-3-3-3 
・SBKのスーパーポールの説明(天候状況による)
・レッドフラッグの手順の説明
・SBKは、天候の理由ではレースを中止しない。レース中のタイヤ交換やセッティング変更はピット・インして行う。
・新項目の導入 1.23 ピットストップについて

1.23 ピットストップ

ライダーは、レース中にピット・インしてもよい。
給油は禁止。
この規則の違反は、失格になる。

SBKクラスについては、以下の手順も適用される:
・ライダーは、タイヤ交換やセティング変更のためにはピット前に停止しなければならない。エンジンを止め、ライダーは降りなければならない。ピットストップ中は、腕章を付けた3人のメカニックのみが車両に触れることが出来る。3人のメカニックは、外部からの援助を受けることはできない。(例えば、ガレージから工具を渡すなど)ただし、ライダーは援助することが可能。マーシャルは、状況を監視し、このルールの違反を報告する。
・電動工具・エアツールは使用は許可される(同時に2つまで。電動またはエア作動)
・スタンドやジャッキは手動のみ
・エンジン再始動時は、外部スターターやブースターバッテリーの使用は許可される


テクニカル・レギュレーション

スーパーバイク

最低車重 1200cc2気筒 165kg
       1000cc3または4気筒 165kg

― エンジンタイプによる性能調整のコンセプト
1200cc2気筒:最低車重は、3kgづつ、168kgと171kgの2回に渡って増やされるかもしれない。上限の171kgになった場合、最低車重の変更では不十分な場合、2.4.8.1.3条項に記述されたリストリクターによるハンディキャップが適用される。

― プレアッセンブリのスペアフレームは、厳密に制限される:
メインフレーム
ベアリング(ステアリングパイプ、スイングアームなど)
スイングアーム
リアサスペンションリンクとリアショック
アッパー&ロアトリプルクランプ
ワイアハーネス

― スイングアームピボットの取り付け位置の変更は、水平、垂直に±5mmまで。使われるテクノロジーとフレームの構成要素または部分の寸法に関係なく、ノーマルのスイングアームピボットを移動させる目的で、溶接と機械加工は許されます(すなわち:鋳造、組立など)

― ホイール:アルミ合金製ホイールのみが許可される
以下の合金の使用は許可されない。
5%以上のベリリウム、2%以上のスカンジウム、1%以上のリチウム。
それぞれのホイールは、JASO T203-85によって承認されなければならない。
(以下略)
両持ちスイングアームの車両では、ホイールを外した際にスプロケットがリアホイール上に残らなければならない

― ホイールサイズ
ホイール直径は前後とも17インチ
フロントリム幅:3.50インチ
リアリム幅:6.00インチ

― ハンドルバーレバー:
オートバイはブレーキレバー保護を備えていなければなりません。ブレーキレバーが他のオートバイと衝突した場合偶然に作動することから保護することを目的とします。


― フェアリング:
公認されたモーターサイクルのフロントヘッドライトの正確な外観、形状、大きさと位置は尊重されなければならない。それらは、プラスチック製やメタリックフィルムなどを車両全面に取り付けることによって得られる必要がある

― リアセーフティーライト
ウエットレースもしくは視界不良が宣言された場合の為に、すべての車両は機能するテールランプをリアシートに備えていなければならない。


スーパースポーツ

― 全選手権の間にチームによって使われることができるエンジンの総数は、パーマネントのライダーにつき8機に限られています。パーマネントライダーが、変更あるいは代理の場合でも、チームのための総エンジン数は変わらない。

― ハンドルバーレバー:
オートバイはブレーキレバー保護を備えていなければなりません。ブレーキレバーが他のオートバイと衝突した場合偶然に作動することから保護することを目的とします。

― リアセーフティーライト
ウエットレースもしくは視界不良が宣言された場合の為に、すべての車両は機能するテールランプをリアシートに備えていなければならない。


スーパーストック

― 全選手権の間にチームによって使われることができるエンジンの総数は、パーマネントのライダーにつき3機に限られています。パーマネントライダーが、変更あるいは代理の場合でも、チームのための総エンジン数は変わらない。

― ハンドルバーレバー:
オートバイはブレーキレバー保護を備えていなければなりません。ブレーキレバーが他のオートバイと衝突した場合偶然に作動することから保護することを目的とします。

― リアセーフティーライト
ウエットレースもしくは視界不良が宣言された場合の為に、すべての車両は機能するテールランプをリアシートに備えていなければならない。

― 追加の装備
FIM/IMSが承認するデータロギングユニットを除いて、ホモロゲートされた車両にはいかなる追加の電子機器、追加の装備は追加することができない。






2012年10月18日木曜日

1199Panigale RS13? F13?

http://www.ultimatemotorcycling.com/2012/checa-and-giugliano-aragon-ducati-1199-test-wrap

1199のWSBKのテストがぼちぼち始まっているようですが、まだまだ開発中といった感じですな。
エキパイの取り回しが大きく変わってますね。

先日のWDWの時の公開テスト時は、まだドカティパフォーマンスのと同じ取り回しのエキゾーストを使用していましたが

先日のアラゴンでのテスト時には、後ろバンクの取り回しが大きく変わってますね。
写真は上記サイトから拝借

肝心な部分が見えるように、明るさ調整しました。

明らかに違いますよね。

テスト自体は、ピレリの17インチタイヤのテストみたいですが...

あと、テールランプが付いてるのも気になるんだが....なぜ?
チェカは、新型フロントフォークもテスト中。

ジュリアーノのがRSで、チェカのがF13って事かな????

2012年10月15日月曜日

1199インプレ

パニガーレにちょこっと乗ってみる機会があったので、簡単なインプレッションです。

乗ったのは、1199panigale S 日本仕様です。
個人の感想ですから、人によって感じ方は違うと思いますよ。



ポジション

ハンドルバーの左右が広がってるのは、単に電気化で大きくなったスロットルのせいだと思ってたけど、これが案外楽ちん。ハンドルバーの左右距離が広がった分、ステアリングの入力もやりやすい。
シートも、多少高く感じるけど幅が細いので足つき性自体は悪くない。シートは、とっても硬い。お尻にはあまり優しくない。
タンクの手前側の立ち上がりがゆるやかになっていて、腹が出てきたオッサンとしては悪くないが、腹を乗せるところがないのが不満といえば不満。

右足が熱い。正確に言うと、日本仕様のクラッチ側のカバーを止めてるネジが内側の膝にあたって熱い。左足側は、サスペンションがヒコヒコ動いているのが伝わってきて、気味が悪い。
両足の問題は、ちゃんとしたカッコで乗れば多分問題ない。薄いズボンで乗ったので...

エンジン

低速のトルクが1198に比べると、やっぱり無い。というか、1198がありすぎ。1199のほうが、人間の感覚的には丁度良い。
微振動がすごく多い。あとで見たら、ハンドルバーにものすごいでかいウエイトが入っていて、奴らも一応こういったところを気にしてるんだな、と思った。

スロットルに対して、なんかギクシャクする。スロットルワイアがないので、リターンスプリングの重さをフリクションでごまかせないので重たく感じる。3モードの違いは、いまいち感じにくいけど、一番しっくり来るのはSPORTモード。そんなに色々試せなかったけど。

ハンドリング全般

とにかく良い。としか言いようがない。今までのDUCATIで必要とされていた、コーナーを曲がるために儀式みたいなものが全くいらなくて、何も考えなくてもちゃんと曲がってくれる。フロントタイヤの感触もすごくあって、コーナリング中でもラインの変更が自由自在。多少、オーバースピードで侵入しちゃった時、従来のDUCATIはどうにもならずに、ただコーナーの出口までおとなしくしておくか、思い切ってバイク立ててブレーキングして減速してからやり直すぐらいしか手がなかったけど、1199はなんでもOK。旋回中の修正もハンドルこじれば、なんとでもなる。これが、前後重量配分の見直しから来ているのだとすれば、今までのものは何だったのだろうか?としか思えない。
あと、従来ドカが苦手だった下りのタイトコーナーみたいなシチュエーションも、全く問題がない。これは、ムルティ1200からちょうことしてあったけど、ロングスイングアームによる恩恵だと思う。
ドカが苦手なのは、スイングアームが地面を押し付けてない、例えば速度が遅いとか下り坂だとか、そういう状況でスロットルを開けるとアンチスクワットが大きすぎてスロットルを開けていけない状況になる。これを解消するには、もっと速い速度でリアサスを縮めるか、予めリアの車高を下げておくか。なんでなのかといえば、近年の一般的なSSに比べてスイングアームが短いので、垂れ角の変化が大きくそれがアンチスクワットに良くない影響を与えている。
1199では、この長さが大幅に長くなったので予想通りというか、予想以上に下りでも攻められるし、開けられる。

スイングアーム長(参考)
999        490mm
1098/1198   495mm
1199          535mm
ムルティ1200  565mm

サスペンションは、割りと固めの設定だけど1198とかみたいに、バカみたいに硬いわけではない。モードとしてはSPORTのモードが、ピッチングを許容するセッティングで一番心地よい。RACEは、ちょっとダンパ効き過ぎな印象。

何れにしても、楽ちんポジションと相まって本当に上手くなったような錯覚をするし、勘違いしてもある程度は許容してくれる。
(同様に1098も勘違いする感じがあったんだけど、アレは攻め込んでいくとそれが勘違いだってことに、嫌っているほど気付かされるところが大きく違う。従来、失敗すると心臓が口から飛び出そうなぐらいドキッとする瞬間が、稀にやってくるのだが、1199にはそういった感じが今のところ無い。)

そのほか、重量が軽くなったこともいろんな所に良い影響があると思うけど、割とすぐに慣れる。
リアの良さと、前輪の接地感というか存在感がとても良い。

ブレーキ

とにかくこれが、最高に良い。330mm+モノブロックのブレーキが登場した1098の時は、やりすぎの感じしかなかった。自分の想像の数倍の減速をするから、イメージに合うまでは減速しすぎて開け直しみたいな感じがあって、ものすごい減速Gなんだけど、あれを活かすにはツッコミの速度を上げないともったいない感じがしていた。なので、848の320mmのほうが好感を持てる。
でも1199のブレーキは、本当にチューニングが絶妙に良い。あとで調べたらキャリパーピストンの径変更されてるし、マスター径も違う。だから、キャリパだけ移植しても1199と同じにはならない(というかむしろひどいことになると思う)
とにかくブレーキは良い。効き過ぎないし、よく効く。コントロールもしやすいしスポンジーな感じも特に無い。
前後連動ブレーキの効能は、あんまり乗ってないんでよくわかりません。
とにかく自然で、1098とかのブレーキからすれば数段良い。

まとめ

とにかく良い。
スロットルの操作性に、ギクシャク感を感じるので、ツーリングとか渋滞にハマると評価は変わるのかもしれないけど。
山道を飛ばす分には、馬力的にも申し分ない。
サーキット走るならば、馬力不足を感じるのかもしれないけど、公道走行レベルでは特に気にならない。

簡単に乗れるようになることに対して、一抹の寂しさを感じる既存のドカオーナーは、異論を唱えるかもしれないけど、最近のライダーはもっとライトユーザーだから、困難を乗り越えてまでバイクに乗ろうとは思わんのよね。

今までのドカは個人的感覚で言うと、たとえば
916の場合、筑波で5秒切れない人には比較的苦痛しか無いバイクだけど、3秒切れる人にはとても楽しい。
999の場合、筑波で10秒を切れない人には比較的苦痛しか無いバイク。3秒を切る人は、ん!?って思い始める
1098の場合、筑波で15秒を切れない人には比較的苦痛しか無い。3秒切る人は、アレレレ!?って思う。
みたいな、ある程度のスキルがないと上手く乗れない=楽しくない感じなんだが

1199は、まだそこまで乗り込んでないけどハードルが低そうな感じ。
だからといって1098みたいに、攻め込んでいった時の挙動不審というか裏切り感も少ないんだと思う。

修行というか、精神・技術の鍛錬としてドカと向き合っている人にはオススメしません。