2013年11月2日土曜日

欧州2輪排出ガス規制とニューモデルの関係

ツイッタでのつぶやきネタからの昇華ポストです。

昨今のニューモデルの開発は、排ガス規制を無視することはできなくなっています。

なぜかといえば、欧州ではEURO Xという名称で排出ガス規制が行われており、新規制に適合しないモデルは販売できないことになっています。ただし、継続生産に限っては1年の猶予があります。

つまり、排ガス規制のロードマップを見れば欧州におけるニューモデル発表のタイミングがある程度見えてくるわけです。

現在、適応中の規制はEURO3と呼ばれるものでこれが来年2014年からEURO4が始まります。
ですからモデルイヤー14と15はニューモデルラッシュになるわけです。

当然のことながら、新規制を現行規制のモデルのマイナーチェンジで凌ぐ場合もありますが、EURO3の時代が長かったこともあって、このタイミングでニューモデルを投入してくるメーカーも多いと思います。


2輪のニューモデルの発表の場としてピークは、来週から始まるEICMA(いわゆるミラノショー)ですので、この辺りで大体の情勢が見えてくると思われます。


以下は、ドゥカティのニューモデルとEURO規制の一覧です。
こうやってまとめると、ニューモデルの発売サイクルが短いのでイマイチ関連性が感じられませんね :-P



参考までに、EURO規制値と今後のロードマップです。


2013年10月9日水曜日

DUCATIの重量表記について

DUCATIにおける重量の表記について


その前に一般的な話ですが、バイクの重量を表示する上でカタログ等には「乾燥重量」や「装備重量」などという表現がありますが、その内容というか定義についての説明です。

「乾燥重量」や「装備重量」を含む二輪自動車用語ついては、JISにきちんと定義されていて 「JIS D0109 二輪車用語」を紐解くと…


「乾燥重量(乾燥質量):乾燥状態の自動車の質量。」
まぁ、そりゃそうですよね。

装備重量については一般的な用法から、更に細分化されており
「空車質量:空車状態の自動車の質量」と
「全装備質量:空車状態に、製造業者によって準備された追加及び選択の艤装品をすべて装着した自動車の質量とあります。」
空車と全装備の違いがイマイチわからないのですが、ほぼ同じだと思って良いのでしょう。


では、「乾燥状態」と「空車状態」の定義を見てみましょう。

乾燥状態:<前略>~作動液(潤滑油、冷却液、ブレーキ液、バッテリ液など)の全量を含むが、燃料及び混合燃料は含まない

空車状態:乾燥状態に燃料(規定燃料容量の90%以上)及び製造業者によって通常備えられるぎ装品を加えた状態

とあります。
う~~~ん、なんか乾燥状態(乾燥重量)の定義がJISと、バイクメーカーや市中で一般的に理解されている定義との間に違いがあるんですよね。この事実を知った時にちょっとびっくりしました。

wikiなどでも確認しましたが、バイク業界においては一般的に「乾燥重量」といえば汁物が一滴もない状態を指しているわけなんですよね…
何故、こういう乖離が生じてしまったのかは謎です…





では、DUCATIの重量表記について見ていきます。

DUCATIの重量表記は、2004年までと2005年以降で大きく分かれています。


こちらは、2004年のカタログです。
重量の箇所に但し書きがあり、「重量にはバッテリー、油脂類、水冷モデルの場合は冷却液を含みます」とあります。
JISで定義される「乾燥重量」の測定条件ですが、日本では一般的に「半乾燥重量」などと表現されます。

2004年以前はズーッとこの条件での表示だったと思われるのですが、たぶんドカティの中の人が「ヨソのメーカーは液体を含まない重量で表示していて、見劣りがする」ってことになったらしく、2005年以降は表記が改められました。


こちらは、2005年モデルのカタログです。翻訳がおかしいような気がしますが、「(重量は、)バッテリー、潤滑油、水冷式モデルの場合はクーラント、を除く」(勝手に翻訳補正)とあります。

「(すべての液体を含まない、いわゆる)乾燥重量」に改められました。
ついでに言えば、本来バッテリーの電解液だけを含まない条件だと思うのですが、勝手に拡張してバッテリー本体も計測に含まないことになっています。

一方、日本車勢はといえば、同じような時期に「(いわゆる)乾燥重量は、実際の使用状態とかけ離れていて、実態にそぐわず不誠実」という風潮が出てきて、装備重量(≒空車重量)表示に改められたようです。
なんだか皮肉なものです。


以降、DUCATIは(いわゆる)乾燥重量表示のみだったのですが、2012年のカタログ以降は(いわゆる)乾燥重量と装備重量(≒空車重量)を併記するようになっています。
2013年カタログより(1199Panigale tricolore)

写真では切れていますが、「車両重量は、バイクの動作に必要なすべての油脂類と水冷モデルの場合は冷却水を含み、燃料(燃料タンク容量の90%以上)すべてを含む重量(93/93/CE)」と書いてあります。

おそらく、どこかの他所の国でクレームがあったんでしょうね。


※2013/10/09追記

海外メーカーによっては
乾燥重量は dry weight
装備重量(≒空車重量)は kerb weight または curb weight と表示される場合もあります。
参考まで…

2013年9月30日月曜日

1199RS 前後重量配分変更

http://www.moto.it/Superbike/marinelli-ducati-abbiamo-lavorato-sui-pesi-guadagnato-3-decimi.html

MotoGPで、マルケスがペドロサのリア車速センサを断線させた話題で持ちきりですが、WSBKしかもすでに注目度もあまりない1199パニガーレのお話です。

どうやら、先週末のラグナセカから新しい重量配分の車両が使用され、それなりに高評価・好結果であることをまとめておきます。

ビジュアル的には単にシートレールが、トレリスフレームになったようにしか見えませんが…


上記サイトによればシートの下に7リットルの容量を移動し、これによって0.2~0.3秒ほどのタイムが稼げたと。複数のライダーでも、ポジティブな内容が寄せられているとのこと。

市販車レベルのパニガーレで言えば、エンジンを後ろに回転させDUCATIの従来からの問題点であった前後の重量配分を、F52:R48という理想的な配分にしたというのがひとつの売りでしたが、パニガーレのレーサーが後ろに重量物を移動しなければならないというのはなんとも皮肉なものです。

これには幾つか理由があって、市販車では燃料タンク容量が17.0リットルしかありませんが、SBK仕様は24.0リットルですから何処かで容量を稼がないといけません。

SBKは「一応」シルエットフォーミュラですから、側面からのシルエットとエアクリーナーボックスになっている燃料タンクの裏側形状は変更できませんから、横方向に拡張するかシートの下に押しこむしかありません。

ここで、簡単なイラストでそれぞれを比較してみます。
イラストはいずれも、現在公開されている写真からの想像図です。



これは、STD状態。17リットルです。省略していますが、燃料タンクの裏側が凹んでいてエアクリーナーボックス(フレームの内部ですが)の蓋になっています。



これは、RSと呼ばれる市販レーサーの初期型です。
通常はカウルに隠れていて見えませんが、容量の大部分をタンク前方の左右に張り出した部分で稼いでいます。タンク上面の後端形状もだいぶ盛り上がっています。



で、これが今回ラグナセカで走った車両の想像図です。燃料タンクの前半分に線があるのですが、ここから前はダミーではないかと思うのですが、まともな側面写真がなく不明です。
後方は、エキパイと折り重なる様に張り出して容量を稼いでいるようです。


2013年9月5日木曜日

【ガセネタでした。すみません。追記アリ】1199Panigale SPS パニガーレの最強モデル登場か!?




なんか、すごいサイトがキタ!


http://www.1199sps.co.uk/
のURLで、何やら怪しげなティーザーサイトがオープン。

オフィシャルなものなのか、勝手に作られたものなのか、イマイチ判断が付きません。
一応、ドメインをWHOISで調べてみたものの、詳細はわかりませんでした。

表示されるテキストが、えっらい挑戦的でdocomoの「そろそろ反撃してもいいですか」に匹敵しなくもないんだけど…

IN A TIME OF WAR
戦いの時は来た…

WHERE COPYCATS RULE
サル真似のルールは何処へ…

A NEW PROJECT EMERGES
新しいプロジェクトの登場!

IN THE FIGHT FOR DESIGN
戦うためのデザイン(設計)がある

ONLY THE STRONGEST SURVIVE
最強のものだけが生き残る

COMING SOON
カミングスーン


訳がおかしかったら教えて下さい。
現状のSBKでの成績を考えると、かなり無理がある感じが否めません。


文字通り受け取れば、1199SPSが出るってことなんでしょうけど、すでに1199Rが出ているので順番的に違和感があります。
しかし、現状販売されている1199Rは元々1199SPという名称で販売される予定だったと言う情報もありますから、そのへんを鑑みるとなんとも言えません。

このページのソースによれば、カウントダウンは2013/10/01 00:00:00に設定されていますから、約一ヶ月後には何かがわかるのでしょう。
いずれにせよ、これが本物の(オフィシャルな)サイトならば、パニガーレはまだ諦めていないって事でしょうね。


これと関連しているのかわかりませんが、日本でも特別なお客様のリストアップがこっそり進んでいるようではあります。

http://www.roadandtrack.com/go/future-cars/future-car-news/future-car-and-spy-shots-2014-ducati-1199-panigale-rs

もしかすると、すでにスクープされているこの記事と関連するのかもしれません。
このスクープ写真、エキパイがチタンだし腹下のサイレンサ形状も今までに見たこと無い形(レース用でもない)なんですよね。
しかも、カウルはフルカーボン。写真で見る限りチリも良い感じだしカウルのクオリティは高そう。
ホイールは、マグでしょうかね?
フロントフォークがマルゾッキですが、これはダミーかもしれません。



いずれにせよ、10月1日を待つしかないようです。
メールアドレスを登録しておくと、何か情報が配信されるんでしょうかね?



2013/09/13追記

上記サイトが微妙に更新されていて、ツイッタとfacebookのアカウントへのリンクが出来ていました。
https://twitter.com/1199sps
https://www.facebook.com/pages/PROJECT-1199SPS/210560925778712

facebookページの基本データのコメントから検索すると、こんなページに辿り着きました…
http://ducati1199.com/ducati-1199/15117-project-1199sps.html

んまぁ、どう見てもショップor個人レベルのプロジェクトですね。
お騒がせしました。

でも…

2013年6月11日火曜日

【速報】2013 8耐エントリーリスト分析

エントラント向けですが、8耐のエントリーリスト暫定版が出ました。

総エントリー数63台。今年も予選落ちなしです。
4耐がグリッドに対してほぼ2倍のエントリーに比べると、懐かしライダー同窓会の様相を呈している事は否めません。予選落ちがなければ気軽にエントリーできますしね。

エントリーリストの内容は、正式発表まで待つとして(例年であれば7月上旬の合同テスト時に発表)、エントリーした車種と年式、タイヤメーカーだけを集計して見ました。
(単に、ライダーそのものにあまり興味がないだけです…笑)


かなりやっつけでエクセルに入力したので見づらい?ですかね。
データは、それぞれエントリーリスト上の申告によるものです。
間違いはご容赦ください。


台数の多い順に見ていきます。

まず、例年通りの1台勢力はホンダCBR勢の19台。
2012年式が一番多く、使用タイヤはダンロップユーザー11台、BS7台、未定1です。

その次に多いのが、スズキGSX-R1000の12台。
年式は適度に分散しているものの、2009年式が3台も。
タイヤはやはりダンロップが多く8台。ミシュラン2台は、いずれも海外チーム。
最新の2013年式が一番多いモデルになっています。

第3勢力はヤマハYZF-R1 10台と、カワサキZX10-R 10台。
以下、BMW S1000RR 6台、DUCATI 1199Panigale 3台、アプリリアRSV4、KTM RC8各1台となっています。

このあたりは、車両の速さ(ポテンシャルの高さ)とメーカーのマーケッティング戦略なども絡んでいると思われます。


タイヤメーカーは、もう圧倒的にダンロップの34台。全体の50%以上の使用率です。BS15台、ミシュラン7台、ピレリ6台、未定1台になっています。
このあたりは、世界耐久チームがもう少し多いと勢力図が変わってくるのですが、基本的には日本でのタイヤの入手のしやすさに比例していると思われます。(除く、海外組)

今年もタイヤ的な注目は、ブリヂストンvsダンロップですかね?

あとは、4メーカー以外の外車勢の行方でしょうか。
アプリリアは、以前はもう少し台数多かったのですがどうしちゃったのでしょうかね?

取り急ぎ、速報です


2013年5月10日金曜日

DUCATI スーパーバイクの販売台数ヒストリー


http://www.asphaltandrubber.com/oped/ducati-superbike-first-year-sales-analysis/#more-41412



ネタとして賞味期限が切れてますが、せっかくデータ作ってたので公開しておきます…


2013/3/29のアスファルト&ラバーの記事によれば、1199Rのローンチの時にドゥカティが行ったプレゼンテーションで、過去のスーパーバイクモデルの1年目の販売台数とその時の大型スポーツバイクにおけるマーケットシェアのスライドを見せられたとのこと。
(しかし、配布された資料には、このスライドが入っていなかったようですが…)
このグラフは、写真に撮ったものを起こしたものだと思われます。

このグラフを見た時に、「ははぁ~ん、結構恣意的に作られてるなぁ」と思ったわけです。
Twitterのフォロワーさんの反応を見ていると、
・999って案外悪くなかったよね
・1098ってかなり売れたんだね
という意見に集約されると思いますが、このグラフの本来の意図は、
1199Panigaleが、ドゥカティの過去のスーパーバイクの中で飛び抜けて売れているということを言いたいのだと思いますが、そういう反応にはなっていませんねw
全米興行収益みたいに、切り口を変えることで見せ方を工夫しているようです。


※このグラフの見方
赤棒(左軸、単位台):各SBKモデルの初年度売上
灰棒(右軸、単位台):大排気量スポーツバイクマーケットの販売台数
青線(軸なし、%):大排気量スポーツバイクマーケットにおけるシェア

なにが恣意的何かと言うと、まず初年度の販売台数の定義が微妙。ドカティは通常、新しいモデルを10月のEICMA(ミラノショー)で発表して11~12月ぐらい(近年は早まる傾向)からデリバリーが開始されますが、それを含んでいるのかどうかが曖昧。(多分含んでないと思うけど)
でもって、「大排気量スポーツバイクマーケット」の定義がさらに曖昧。
あと、右軸と左軸が10倍になっていて見づらい。というか誤認させやすい。

ちょっと違った切り口の資料があるので、それを見てみます。
各年の生産台数の資料があって、洋書の一部に出ているそれですが、この表をまとめるとなんとなく全体の生産台数が見えてきます。(完璧な資料なのかどうかは、正直不明)
※出典

・Ducati 916 (Haynes Great Bike) Ing. Massimo Bordi
http://www.amazon.co.jp/dp/185960689X
・Standard Catalog Of Ducati Motorcycles 1947-2005 Ian Falloon http://www.amazon.co.jp/dp/0873497147




















このグラフは、上記の資料の数字をまとめたものです。もう一つ出典があったのですが思い出せません。
1996に台数がガクッと落ち込むのは、サプライヤーにお金が払えなくなり事実上の倒産の年だからです。その後、CAGIVAからTPGに買収されて順調に販売を伸ばしていきます。
1999は、996のMONOPOSTO/BIPOSTOが生産されたので増えています。モアパワーが望まれていたのでしょうね。

2000年が少なくなっているのは、748系の生産が多く異常に多くなった分、圧迫された様です。
2002年は、999の生産が始まりSBK自体の生産がピークになっています。
2003/2004は、998S FEとか998/MATRIXとか少数の998モデルがありますが、やっぱり999系の生産は落ち込んでいるのが実際です。




SBKモデル、累計生産台数

















各モデル別、生産台数
















2005年のデータは中途半端で、それ以降のデータは見つからないので掲載していません。
データの正確性については、上記出典に依存しているのでなんとも言えません。

※2013/5/11追記
ちなみに、2000の748と2004年の749の台数を増やしているのは、どちらもRモデルではなく廉価モデルです。
2000年は748Rのデビュー年ですが、この年沢山製造された748は、通称748E(社内名称748Economico)が大半です。
2004年も同様に、749Rのデビュー年になっていますが、こちらも同様に749DARK(日本には正規輸入されていない)が台数を牽引しています。
日本人には中間排気量というのは「ツウの選択」といった感じがありますが、欧米ではいわるゆプアマンズ・スーパーバイクという需要が確実に有り、上位モデルと同じ形で値段が安い(結果的に装備がしょぼい)スーパーバイクが売れるようです。