2012年11月9日金曜日

タイヤ空気圧 F2.5kgf/cm2 R2.9kgf/cm2のウソ、ホント?


某雑誌が推奨する、「600-1200ccの車両で、指定空気圧がF:2.5、R:2.9より低いモデルを2.5と2.9に上げる」と良い。対象は「少し古い車両および欧州製の現行スーパースポーツが主」というものについて考えてみたい。

確かに、日本4メーカーの1000cc級のスーパースポーツは、そのような指定になっている。
(1名乗車の場合も、2名乗車の場合も2.5/2.9になっているようである。すべてを確認したわけではないが...)
一方で、DUCATIの場合は、もう少し低めの設定になっている。

参考: ()の中は二人乗りの場合。単位はBar(≒kgf/cm2)
キャブ車SS F2.14 R2.34
インジェクションSS F2.15 R2.35
スポクラ F2.2 R2.2
ST F2.1(2.3) R2.2(2.4)
旧モンスター F2.1(2.3) R2.2(2.4)
新モンスター F2.25 R2.5
旧ムルチ F2.2 R2.4
新ムルチ F2.5(2.9) R2.5(2.9)
ディアベル  F2.5(2.6) R2.5(2.6)
ハイパーモタード F2.2(2.4) R2.2(2.4)
916/748 F2.1(2.3) R2.2(2.4)
999/749 F2.1(2.3) R2.2(2.4)
1098/848  F2.1(2.3) R2.2(2.4)
1199パニガーレ  F2.1(2.3) R2.2(2.4)
ストリートファイター F2.5 R2.5
デスモセディチ F2.2~2.3 R2.2~2.4
上記はオーナーズマニュアル調べ。
*オーナーズマニュアルはここからダウンロードできる http://www.ducati.com/services/maintenance/index.do

タイヤは、概ね欧州製タイヤが装着されているが、MotpGPとの兼ね合いでBS100%装着だった時代もあるけど、それによって空気圧が変更された形跡は無い。(最も、オーナーズマニュアルが正しければの話だが。信じられないような誤記がよくあるので)

傾向としては、フロントが2.1-2.3 リアが2.3-2.5といった感じだと思うが、ストリートファイターの設定にはなんか意味があるんだな....(このバイク、ハンドリングが〈他のドカと比べた場合〉とっても変ですので)



このようになっている理由を、編集長は
「欧州製スーパースポーツの指定空気圧が低いのは、サーキットでテストし、決定しているためと思われます。」と言っているのだけど、果たしてそうなのだろうか???
*ソースはここ。要facebookアカウント
https://www.facebook.com/yasuo.sato.127/posts/294951387283940
https://www.facebook.com/yasuo.sato.127/posts/294948830617529

もしそうだというなら、それはぜひ取材して記事にして欲しいと思う。非常に興味深い特集になるのではないだろうか?「…思われます」じゃなくって、取材して記事にするのがオートバイ雑誌の使命だと思う。




ところで、指定空気圧が低いのはサーキット云々というのは、推定としても正しいのだろうか?
確かに、欧州のメーカーは自社のテストコースを持たないところが多く、サーキットで開発しているという推定はよく言われている通りで異論はない。
一方で、各種のスクープを覧てもわかるるとおりに、公道テストも盛んではないのか?
参考 google画像検索 「バイク ニューモデル スクープ 公道テスト」
http://bit.ly/TwskCZ

そもそも、OE装着するタイヤメーカーがテストに関わらないわけが無いと思うし、最近DUCATIについてはタイヤの開発そのものをピレリと共同で行なっているわけで、タイヤの空気圧についてもお互いの合意の上での設定だと思う。



私は、こう考えるのですが
日本のメーカの場合、タイヤの空気圧の点検がそう頻繁に行われないという前提で、仮に何ヶ月もメンテナンスしなくて空気圧が減少した場合でも、著しく操安に影響が出ないような範囲での、空気圧の上限値を設定しているのではないだろうか?

一方、欧州メーカーの場合は、常に空気圧を点検することが大前提で(スポーツバイクを楽しむためには、それぐらいはやるべきだという思想で)、スポーツライディング走行時のベストな空気圧が指定されているのではないだろうか?

各メーカーは、いろいろな条件でテストをしているわけだと思うし、サーキットで開発したからサーキット走行用の空気圧が表示されているというほど、バカでもあるまいし…


余談ですが、たとえばアプリリアの場合、オーナーズマニュアル上にサーキット走行用のサスペンションセッティングが書かれているわけですが(MV AGUSTAにも書かれている)、サスペンションのセットアップだけがサーキット走行と公道走行を意識していて、タイアの空気圧はそうでないってのは、合理的に考えてもオカシイと思いますけどねぇ。
http://www.serviceaprilia.com/public/lumAprilia/RSV4/B043165%20RSV4%20Factory-R%20MY2012%20JA-EN.pdf




「俺が大好きで世界で一番売れているカップヌードルが3分なんだから、世の中の同サイズのカップラーメンはすべて3分であるべきだ」っていうのと同じぐらい乱暴な論理なんではないでしょうか?

どうでもいいんだけど、タイヤの空気圧表示はナカナカSI単位系表示にならないよね(笑) 今までの慣習的に直感的じゃないからだと思うけど。



2012年11月2日金曜日

リアサスペンションのバネレートとプリロード

今月のバーカーズステーション 2012年 12月号 欧州製最速モデル王座決定戦の35ページ、佐藤編集長の記事に、どうしても許容できない記述があるので、指摘したい。

35ページ中段、にヨーロッパのロードレーサーという見出し部分ですが、以下必要な範囲で引用


ーーーーーー引用ーーーー
ヨーロッパのロードレーサー
 レースをよく知るホンダの技術者に聞いた話だが、日本のレースに出ているCBR1000RRのリアショックスプリングが11kg-f/mm前後だとすると、ヨーロッパのサーキットではこれが8kg-f/mmくらいまで下がるという。この数値は傾向であって正確なものではないが、とにかくバネレートが大幅に低くなるわけだ。理由は下記の通り。
 彼の地のサーキットの路面は日本のそれより滑りやすい。そういうところでレースをする場合、ラーダーとしては、リアサスペンション、リアタイヤからより多くの情報が欲しい。そのためには、荷重の変化に対してより大きくストロークするリアショックが望ましい。同一荷重でより大きく縮ませるためにはバネレートを下げるのがいい。
 しかし、バネレートを低くすると受け止められることが出来る最大荷重が小さくなる。したがってプリロードを大きくするという図式である。こういうセッティングだと乗り心地が悪くなるが、レーシングマシンには関係が無いことだ。
ーーーーーー引用おわりーーーー

このあとに、欧州SSはサーキットで開発するので、このようなセッティングになるが、そのままでは乗り心地が良くないのでプリロードを小さくして市販する(要約)、と続く


ちょっとまって、前段の「より大きくストロークする」ためにバネレートを下げるとあるが、それだと最大荷重が下がってしまいませんか?
最大荷重が下がらないように、プリロードをかけるとハード(ストロークが減る)になるとおっしゃったのは、貴誌ではありませんか?
※2010/1月号、3月号参照
2010/1
2010/3













この記事を書いた編集長の脳内を推測すると、ホンダの技術者の発言は
「日本のレース~8kg-f/mmくらいまで下がる」までで、以下は編集長の想像なんではないか?

思うに、これCBRと言っているスーパーバイクとかの話なんだろうけど、日本の場合サーキットの路面のミューが高い+高剛性ハイグリップタイヤなのが、WSBKやBSBでは路面のミューが低かったりコントロールタイヤだったりして、実際に最大荷重が下がってるんじゃないのかなぁ?

「同一荷重でより大きく縮ませるためにはバネレートを下げるのがいい。」これは、よく分かるんだけど、プリロードを大きくするんだったら話が変わってきやしませんかね?
この「同一荷重」が最大荷重のことなのか?ある一点のことなのかがわからないのも気になる。

最大荷重を同じにしながら、ストロークを大きくするならリンク比を変えるしか無いと思うんだが、いかがだろうか?


あまりにも、すっきり断言されてりいるのでこちらが何か大きな勘違いをしているんじゃないかと思ってしまうんだがどうでしょうか?




ここまで書いて自分があってるのかどうか、よくわからなくなってきた。

2015/4/14追記
どうやら、完全な思い違いをしていた模様…