2021年6月4日金曜日

注文した部品が来ないと嘆く前に…

 外車2輪の部品、なかなか届かないことありますよね…


時間がかかるのはしようがないと諦めているかもしれませんが、個別に事情はあるので一概にどうこうと言う事はできません。
無いもの以外はあるのですぐ届きますが、あるもの以外は無いのでそういったものは時間がかかることもあります…


最近は多くの欧州系メーカーでは日本に部品倉庫を持っていません(小さいメーカーとか、インポーターは知らんけど)
これは別に手抜きでもサボりでもなく、国際間の流通が発展した結果、各国にローカル倉庫を持つよりも、国際宅配便で直送するほうが効率が良くなったからです。
4輪と異なり、部品の大きさが大きくないことも関係していると思います。
倉庫を集約することで、結果的にサービスレベル(注文がバックオーダーにならずに出荷される率)も高くできるからです。

以前は、ドカティでも日本に倉庫が有ったそうですが、日本倉庫に在庫がない場合、次の定期便での入荷になり大体1ヶ月から1ヶ月半は掛かってしまっていました。
(ちなみに、当時も誤解している人がかなりいましたが、航空便です。船便では有りません)

10年ぐらい前に日本倉庫がなくなり、以降イタリア本国の倉庫から日本のディーラーさんに直送されます。DHLで送られるわけですが、最速だと中2日ぐらいで届くこともあります。(日本の地域によっては、DHLがサービスを行ってないエリアが有り、佐川急便が代行していますがその地域はちょっと時間がかかります…と言っても+1~2日ぐらい)


では、ディーラーで部品を注文してから届くまでの流れを見てみましょう。

メーカーにもよりますが、大体のメーカーは緊急便と通常便があり、それぞれ頼める品目や最低数、最低金額などが定められています。単価の安い部品や、需要が見込める消耗品を、ちょこちょこ注文すると効率が悪いですからね。

以降はドカティさんのケースですが…
お店の規模にもよりますが、週に何回かの緊急便と、通常便を使い分けてるんじゃないかと思います。
緊急便で注文した場合、本社倉庫に在庫があればその日中に出荷されます。もちろん、日本との時差は考慮されるべきです。
出荷されると、その段階でDHLのトラッキング番号が発番されますから、以降の追跡を行うことができるようになります。
DHLの場合、欧州便はドイツあたりの欧州ハブに集約され、香港か中国あたりのアジアハブを経由し、日本の空港(DHLの場合、成田、関空、セントレア、福岡あたり)に届きそこからDHLのデポまで陸送されます。
ここまでで、大体イタリアを出てから3~4日ぐらいです。
此処から先は、DHLもしくは佐川急便がディーラーまで届けます。ただし、DHLは土日に配達してくれません…

先程も言ったように、注文スタイルにもよりますがどんなに遅くとも、1週間以内には届きます。

では、1週間以上経っても手に入らない場合、何が起きてるのでしょうか?

1. ディラーが出荷をある程度まとめてから注文している場合はそこでロスします。
2. よくあるのがディーラーさんが注文を忘れている場合。
3. 本社の倉庫で欠品している場合。

3の場合、ドカティさんの場合はディーラーの端末で本社に在庫があるかどうかはわかります。極稀に、タッチの差で売り切れることもあるようですが…
また、通常次の入荷予定がある場合はシステム上に表示されるようになっているはずです

なので、1週間経っても音沙汰が無い場合は、まずはディーラーさんに聞いてみるべきです。これで、1と2のパターンは交わせると思います。

問題は3のケース。
次回入荷が表示されていても、入荷数量に対して注文が多ければ引き当たらない場合もありますし、とにかく注文を入れないことには始まりません。
表示されている次回入荷予定日に注文しても、その時点で引当が残らないことも有ります。

問題は、欠品で次回入荷予定がシステムに表示されていない場合。
この場合は、ディーラーさん経由でメーカーに問い合わせをして貰う必要があります。
個別には個別の事情があるようですし、入荷の予定が遅れていたり、突然廃番になってしまうケースもたまにあるようです。

いずれにしても、ディーラーさんがのんびりしているとシステムに表示されている以上の情報は得られないと思います。ディーラーさん経由で個別に問い合わせれば、場合によっては代替えの部品が使えるパターンもあります。1ヶ月以上、これと言った情報が得られない場合は、発注を入れているディーラーさんは流石にのんびりしすぎです。プッシュしたほうが良いでしょう。

ここは最終的に人力なので、ディーラーさんの交渉力に期待するしか無いです…

※ちなみに、Webikeとmonotaroは海外のどこかのディラーを経由しているようなので、日本のディーラーから注文するよりも時間がかかるようです。

あと、もう一つ注意が必要なのは、部品番号の検索です。
昨今、いろいろな方法で部品番号を調べることはできますが、部品番号を指定して注文した場合、その部品番号が間違っていた場合の責任は注文した人になりますから、注意が必要です。ドカティさんのパーツリストは、部品の検索にテクニックが必要な場合がありますから、ディーラーさんに調べてもらったほうが良いと思いますよ…



1ヶ月も部品が届かなかった件が話題ですが、ちょっと前までイタリアが何回目かのロックダウンしていたことは考慮しないといけないかもしれませんね

2019年6月18日火曜日

2018-2019 FIM世界耐久選手権 最終戦 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第42回大会 レギュレーション変更点まとめ

久々に、投稿…
ツイッターだと文字数の問題と情報が散在しそうなので、たまにはブログを更新してみます。



今年の8耐は、かなり細かいルール変更があって、色々混乱しそうな予感です…


レギュレーション変更点をおさらいします。

世界耐久レギュレーション(FIM版オリジナル 英語)
 http://www.fim-live.com/en/library/download/73532/no_cache/1/
レギュレーションMFJによる和訳。
 http://www.mfj.or.jp/user/contents/motor_sports_info/rule-world/pdf2019/2019fim_rd_regulation.pdf

どちらも太字のところが今年の変更点になっています。
英語版はめんどくさいので、MFJ和訳版を基本に重要そうなところを見ていきます。

まず、予選
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1.13.5 レース出場資格
レースの出場資格を得るためには、各ライダーはプラクティス中に、大会特別規則に明記された最低周回数を完了していなければならない。
更に、各ライダーは、最低1回のクォリファイセッションにおいて彼の所属するグループの最も速いライダーのタイムの109%同等のタイムを出していなくてはならない。
特記:2019-2020シーズンは、最低クォリファイタイムは、当該グループの最も速いライダーの108%とする。
2020-2021シーズンは、最低クォリファイタイムは、当該グループの最も速いライダーの107%とする。
予選通過タイムは全クラス共通とする。
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チームごとの予選とは別に、ライダーごとに決勝を走れるかどうかが決められていますが、各グループ(赤・青・黄腕章グループ)ごとに、それぞれのグループのトップタイムの109%を出していないと決勝を走る資格がありません。
予選に関しては、トライアウトで参加チームが絞られているので、この足切りタイムを出すことが重要です。

ここで、最近の足切りタイムと予選グリッド順の決定方法を簡単にまとめておきます。
2012
  各グループ上位3名の平均の115%
  グリッド:登録ライダーの平均順
2013-2016
  各グループ、各セッションの上位3名の平均の115%
  グリッド:登録ライダーの一番速いタイム順
2017
  各グループ、各セッションの上位3名の平均の115%
  グリッド:登録ライダーの平均順
2018
  各グループの最も速いライダーの110%
  グリッド:登録ライダーの平均順

この辺も過去から紆余曲折がありますが、毎年厳しくなっています。
各グループの最速タイムの110%ですから、例えば2分4秒00の場合足切りタイムは2分15秒16になります。3秒とか出されると、足切りは14秒ぐらいですからプライベーターは結構も困りますよね…

次、ピット作業。ここは大きく変わります。
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1.15.5 ピットストップ
<略>
ピットレーンにおけるピットストップ中、公式アームバンドの装着によって身分が明確4名のスタッフが直接マシンの作業をすることができる。この4名は他の如何なる援助も受けてはならない。ピットレーンにおいて公式アームバンド装着者のみ他を支援したり、ホイール、その他パーツや工具を受け取ることが認められる。
<略>
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ピット作業できるメカニックの人数が4人というのは従来から変わりないのですが、「いかなる援助も受けてはならない」ここが今年の変更点のポイントです。
従来は、前後にアクスルの抜き差しをする人、ホイールの入れ替えをする人が腕章メカニック(バイクに触れて良い人)で、それ以外に新しいホイールを渡したり、交換したホイールを受け取る人等が配置されていましたが、これが明示的に禁止されます。


次、タイヤ使用本数。ここ何年も紆余曲折していますが今年は決勝用と予選用で分けられます。
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2.3.6.6 タイヤステッカーの数
<略>
2回のクォリファイプラクティスセッション及びレース各チームが準備する どのタイプ、仕様、構造等、フロントまたはリア、スリックまたはインター ミディエイトタイプのタイヤ、各チーム準備される全てのタイヤはFIMタイヤステッカーによって2回のクォリファイプラクティスセッション(QP)及び レース中にマーキングされる

1. EWCクラス、各チーム
― 8時間イベント
レース用タイヤステッカー16枚 QP用6枚 (2名のライダーチームの場合 QP4枚)
※ここ和訳版では2名ライダーの場合レース用4枚と書いてあるが誤訳。無理でしょw
2. スーパーストッククラス、各チーム
― 8時間イベント
レース用タイヤステッカー9枚 QP用6枚
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EWCに限って言えば、予選はライダーごとに1セット、決勝は1時間毎に1セット使えますね。予選の6本をどう配分するのかが鍵になりそうです。


続いてハンドプロテクター?
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2.3.14 ハンドプロテクター
ストリームライニングに追加のハンドプロテクターを装着することを推奨する。 “クイックフィット”タイプのものに限定される。ハンドプロテクターは、手の 保護を目的とするためだけのものであり、ハンドルバーの幅より突出していては ならない。すべての尖ったエッジは丸められる。ストリームライニングにハンド プロテクターを装着した場合でも、必要なクリアランスは守られなくてはならな い(図A-3を参照)。
<略>
2019年1月1日よりハンドプロテクターは義務となる。
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ここで言う「ハンドプロテクター」とはレバーガードのように見えるけど、「ストリームライニング」の装着と書かれていて謎。ストリームライニングというと、フェアリングとかの事を指すと思うんだけどなぁ… まぁ、レバーガードのことですかね?


去年の8耐以降、話題だったのがこれ。当時はFIM公認のクイックフィルバルブしか認めないということでしたが…
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2.3.15 給油
オリジナルの燃料タンクキャップは、クイックフィルタイプ(航空機タイプ)の に適合する最大2つの開口部を持つ燃料バルブに変更しなければならない。
そしてそれはクローズトシステム(閉鎖式のもの)でなければならない。同心円 状のクイックフィルバルブ開口部が認められる。
<略>
2018年9月1日より下記事項が適用される。
1 オリジナルの燃料タンクキャップは、クイックフィルタイプ(航空機タイプ)のに適合する最大2つの開口部を持つ燃料バルブに変更しなければならない。各タンクバルブまたは各スリーブまたは燃料タワーとタンクを繋ぐパイプの直径は 50.8mm(2インチ)を超えてはならない。
同軸または同心円状のクイックフィルタイプバルブシステムが認められる。クイ ックフィルフュエルバルブシステムのこのタイプの最大直径は78mmとする。同 心円状バルブの燃料移送のための開口部はオリジナルのフュエルバルブ開口部のエリアを超えてはならず、最大直径は2インチとする。(50.8mm)
<略>
2019-2020シーズンは、FIM公認フュエルバルブのみ使用が認められる。
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というわけで、公認バルブの導入は次のシーズン(8耐以後)に持ち越されています。
容器の高さ制限は、去年からタンク部分100cm、全体でも120cmというのは継続です。


次、車体回り
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2.6.6.1 メインフレームボディー
<略>
公認された車両のリアサブフレームは、変更、または改造することができるが、 デザイン、目的及びアッセンブリ―は公認された車両のパーツを維持していなければならない。素材タイプは認証を受けたものに維持されるかまたはより重量の あるものでなくてはならない。

シートセクション/ボディーワークの材質は交換することが出来るが、全ての方向に対する公認時の形状/プロフィールは維持されていなければならない。
<略>
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ここ条文も、従来わりと緩かったところですね。シートレール自体に違う目的をもたせたりデザインを変えることが明示されました。
あと重要なのが、シートセクション/ボディーワークは全方向に対して公認形状を維持しなければならない。これ、厳格に運用したらレギュレーションに合致するバイクは1台も無いような気がします。特に、市販車(ホモロゲーション車)での16とか17リットルの燃料タンクを24リットルにするのに、全方向での形状を維持するのは難しいです。従来は「原則として」というような表現で割と曖昧でしたけどね…


次、チェーンガード
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2.6.6.3 リアフォーク(スイングアーム)
<略位>
ライダーの身体の一部がチェーンの下部とリアホイールスプロケットの間に挟ま れる可能性を減少する方法でスイングアームにチェーンガードが装着されなくて はならない。チェーンガード(a.k.a シャークフィン)はチェーンとカムスプロケ ットが噛み合う部分の開口部を覆っていなければならない。
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チェーンとスプロケットの噛み合う部分(下部)が見えてちゃいけなくて完全にカバーされないとダメみたいですね。


最後、燃料タンク
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2.6.6.10 燃料タンク
オリジナルの燃料タンクを改造して、24リットルの最大容量を達成することが できるが、公認時の外観及び位置は維持されなくてはならない。しかし、ライダ ーの好みに合わせて若干の変形が認められる。フレームのアッパーラインより下 はタンクを改造する事が認められる。しかし、燃料タンクの延長部分はアッパー とロワーシートフレーム構造内に収まるものでなければならない。燃料タンクの 先端は、リアホイールアクスル部の仮想垂線を超えてはならない。
<略>
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ここもトップチームでは、結構問題になっているようです。
昨今では、重量配分や燃料が減ってきたときの重量配分変化を嫌って燃料タンクがどんどん車体後ろ側に移動しているのがレーシングバイクでのトレンドですが、いくつかのチームがそのために燃料タンク形状を大きく変えています。そもそも「2.6.6.1 メインフレームボディー」で形状が規定されていますが、タンク下側も新たに「ロワーシートフレーム構造内に収まるものでなければならない」と明示されました。
某社のワークス系チームや、ドカティのV4Rを使用するチームなどがすでにこの項について指摘され改善を求められているとのことです。具体的には、はみ出している部分に枠(フレーム)をつけてフレーム構造内に収まっている状態にしないといけないようですね。

レース前の公式車検も、数年前からFIMのスタッフがチェックしており、国内側での融通が効かないようです。

以上、簡単(?)に今年の8耐ルールの変更点をまとめてみました。

2019年3月2日土曜日

FIMのレギュレーションを原文で読む 3

比較的暇だった頃に書いた
FIMのレギュレーションを原文で読む
FIMのレギュレーションを原文で読む 2
がリンク切れ過ぎていて使いものにならないので、再エントリー

兎にも角にも、レースレギュレーションに興味や疑義が生じたら、FIMのレギュレーションの原文を読むのがおすすめです。(全日本ロードレース選手権の場合はMFJ)
基本的に、英語ですがそんなに難しくないと思います。

国際モーターサイクリズム連盟(FIM) 各種ドキュメント置き場
http://www.fim-live.com/en/library/

まず、多くの人がここにたくさん表示されるリンクを見てめげると思いますw
以前はカテゴリー分けされていて見やすかったんですが…

文書は基本的にPDFで(一部エクセル、ワードあり)、
左から文書名、ドキュメントタイプ、オーナー、言語、年
となっています。

ドキュメントタイプは、レギュレーションを探すなら「codes and regurations」です。
オーナーはサーキットでのレースの場合は CCRです。
言語は英語とフランス語しかありません。
年は文書に関連した年です。



最近の面白そうなのを、適当に見繕って直リンしておくと(後日、リンク切れの可能性があります)
※PDFが開くかダウンロードされます

MotoGP、Moto2、Moto3のレギュレーション
2019 FIM Grand Prix World Championships Regulations (update 21/02/2019)

スーパーバイク、スーパースポーツ、SS300のレギュレーション(仮)
2019 FIM Superbike, Supersport & Supersport300 World Championships Regulations (provisional)

SBK、SS、EWC公認車両一覧
Listing of FIM homologated motorcycles for 2019, 17 February

SBK、SS600、SSTK、SS300なんかの公認部品リスト。
これ結構面白いよ(2019/3/13追記)
※エクセルファイル
2019 FIM Approved Parts List - updated Feb 2019

世界耐久選手権のレギュレーション
2018-2019 Endurance World Championship (updated Dec_2018)





2016年8月10日水曜日

8耐を殺すのは誰か!?



今年、初めてテレビで8耐を観戦しました。
初めてというのは、何時もはサーキットに居たからなんですが…
それはさておき、テレビで8耐を気軽に(と言ってもBSだけど、無料だしね)見れるようになって良かったなと思う反面、去年辺りから気になっていた異変が確信に変わりました。

昨年の10月に突然発表された2016 8耐の参加台数制限と2017年の8耐が世界耐久最終戦になると言う発表。去年辺りから、日本における世界耐久事情が急速に変革してきた感じを受けていました。
結果的に2016年の参加チームは、2015年の8耐決勝での所定の結果を収めたチームに加え、予選レースとも言える8耐トライアウトを受けることによって、参加できるチームを70チームに絞りました。


従来から、鈴鹿8耐は世界耐久選手権の一戦で、以前は世界耐久の年間エントリー契約チームは参加が必須でしたが、2009年の景気の悪化以降、参加必須が鈴鹿だけ免除されてきた経緯があります。(この項目は現在も継続中)

世界耐久チームの多くは、耐久好きなフランスをはじめとした欧州のチームが多く、日本までの遠征には負担が大きいために取られた措置でした。
そのせいも合って、2007年以降は決勝フルグリッドの70台を割っていて、日本一カジュアルな世界選手権と勝手に呼んでいました。



一方で、日本、鈴鹿における耐久レース≒8耐は、日本人的には特別な感情を持って慕われる特別なレースでも合ったわけですが、その雰囲気が一変したなと思うのは去年、2015年辺りからだと思います。
とは言っても、パドックをウロウロしていると例年よりFIMの関係者が多いような気がしていたとか、車検の時にはFIMの関係者からの指摘が増えたことぐらいでしたが、いずれにせよイベント自体に関するFIMの関与が増えてきたんだな―ぐらいにしか思っていませんでした。

この答えを、たまたまお土産でもらった今年の8耐プログラムの冒頭で見つけたのが、今回のブログエントリを書くことになった理由です。(よくよく見たら、去年のプログラムにもすでに書かれていたのですが…)

プログラム冒頭には、FIM会長 ヴィト・イポリト氏のごあいさつが書かれているのですが、そこには昨年よりユーロスポーツのテコ入れで選手権のビジュアル面を改善・強化と書かれていました。
今年の放送でも仕切りにユーロスポーツの生中継と言っていましたが、そういうことだったんですねぇ…

確かに、数あるロードレース系の世界選手権の中で、世界耐久選手権は(フランス以外では)一番パッとしない世界耐久選手権なのかもしれません。ここに、FIMとユーロスポーツが目をつけたんでしょう。そう考えると、昨年からの違和感についても合点がいくというものです。


さて、今年2016の鈴鹿8耐にエントリーするためには、昨年の決勝レースで所定の実績を収めているか、他のレース(8耐トライアウト)での上位の成績が必要になった訳ですが、今年のトライアウト導入に至る経緯については、ライディングスポーツの2016年1月号に詳しいです。
要約すると、
・予選が2組になると走行時間が十分に取れない。昔はA、B組の時代も合ったが、今は第3ライダーがあるのでスケジュール的に厳しい。また、一度に走行できる台数はコースのホモロゲーションで75台だが、70に絞れば安全である。
・参加選手のタイム差が大きい
ということらしい。

だが、これには異論があります。
世界選手権年間エントリーチームの鈴鹿参加が免除された2009年以降、エントリチームが少なかったので結果的に予選は1組で済んでいたのですが、2015のストーナー効果によりエントリが増えて2015年からは予選はA・B2組開催に戻っています。
ところが、2015年はエントリーの増加を予測して、事前のレギュレーションで同時走行台数を80台に増やしてしていたのです。(実際にはエントリーが81台になって、A・B組開催になったのですが)
これは、コースのホモロゲーションも無視した変更で、安全性という観点からも問題があります。

2015年 鈴鹿8耐  大会特別規則書より






2014年にそれまでの1組走行の最大になる70台になったのですが、実際この時コース上は結構危険な状態だったのにもかかわらず、それを実現しなかったとはレース進行のために80台に変更しておきながら今更安全性でとか言われても、それが本当の理由だとはちょっと思いにくいです。

また、第3ライダーが増えたのでという理由については、それ以前も補欠ライダーと言う名の第3ライダー走行枠は合ったわけだから、これについてもちょっと疑問です。

参加者のタイム差については、予選はともかく決勝については予選台数以外に上位のライダーの115%のタイムを満たしていないライダーは走れないという大元のルールがあるわけだから、必要に応じてこちらを変更すべきなんじゃないかなと思うんですよね。


いずれにせよ、トライアウトが実施された2016の8耐はそれなりに盛り上がって、記念すべき40回大会の2017年については、世界耐久選手権の最終戦に設定され、有名ライダーの参加も噂され盛り上がるべくして盛り上がるんだろうと思います。



8耐には2つの側面が合って、興業としてイベントとしてのハチタイ。もう一つは、参加者、特にプライベーターの参加としてのハチタイがあると思います。
ここ10年ぐらいで振り返ってみると、2001-2年あたりまでは割と盛り上がってた感じでしょうか?
GPライダーを始めスターライダーが走ったり、TV番組の企画になったりとしてた辺り(功罪はあるにせよ)。




興業としてみた場合、ここ最近の観客動員を分析してみると面白いことが分かりました。
偶然の一致かもしれませんが、決勝日の観客動員数は、エントリーチーム数と概ね比例しているようです。(どうでもいいけど、8耐の観客動員数調べるのは全日本ロードレース選手権のそれを調べるよりはるかに大変でした…)


単に景気の情勢と、エントリーチーム数が連動しているだけなのかも知れませんが、いずれにせよ平均すると1チーム当たり約1000人のお客さんを連れてくるようです。
つまり、エントリー数を限定せず増やしたほうが、観客動員数が増えるんじゃないですかね?
トップチームだけで競技としてのレースは成立するんでしょうが、興業…お祭りとして考えるとそれ以外のプライベートチームのエントリーというのも決して無視できないんじゃないでしょうか?


来年のハチタイは多分大いに盛り上がるでしょう。
だけどそれ以降、例えばユーロスポーツが手を引いたりしたりした場合どうなるのかは何ともわかりませんが、日本人的なハチタイとしてどうなんでしょうかね?

煽りっぽく書くと、
「俺たちのハチタイを欧州の商業主義に奪われても良いのか!?」
って感じですかね。
以上が今年の感想です。

欧州のバイク市場には多少の効果があると思うけど、日本のバイク市場の活性化には8耐はあんまり影響無さそうなんで、さしあたり奪われるのを傍観するしかなさそうな気配です...

※この投稿をまとめるに当たって、色々調べていくうちに、実は去年からユーロスポーツの関与については各所で記事になっていたものの、単に読んでいないだけでした。
自戒の念を込めて、ここにしたためておきます…


















[追記]最後にちょっと補足しておくと

まず、トライアウト制の何が困るかと言うと、単純に参戦コストが増えるだけでなく、スポンサーへの説明が難しく資金の調達が一層むずかしくなるという問題があります。
予選落ちは予選落ちとしても、一応8耐に出たことには変わりがないので、スポンサーさんへの説明が比較的容易ですが、事前に選抜レースがあるということになると話がややこしくなります。

また、参戦コスト的にも非常に大きなものとなってしまいます。耐久レースは、レース自体に掛る直接的なコストよりも、お手伝いしてくれるチームスタッフの人数とかそれに掛かる滞在費・移動費なんかが馬鹿になりません。

ユーロスポーツのテコ入れに関しては、2015年の8耐を見たFIMの人たちはパドックの貧乏臭さと、レースのレベルの開きが気になったんじゃないでしょうか?

結果的に、落ちない予選であるにも関わらず、2分16秒以下チームが5チームと、いつになくレベルが高くまとまった訳で、FIMの意向は成果があったと言えるんでしょう。


あと、主催者推薦枠が従来の4台から11台になったのは鈴鹿サーキット良心だと思います。
それまでの主催者推薦枠は、様々な圧力や横槍にさらされた結果、結局予選タイムの頭取りという機能していない状態になっていましたが、今年の結果を見る限りでは主催者推薦枠が11枠になりちゃんと推薦枠として機能しているようです。


まぁ、鈴鹿サーキット自身が、この優良なコンテンツを行かしきれていないのだから、ガイジンに乗っ取られるのもやむなしなんでしょうかね?
個人的には鈴鹿サーキットには、世界耐久選手権を抜けて、独自の耐久文化を築いてほしいと思ったりするんですが、鈴鹿8耐の歴史を紐解くと、創始者(?)の藤井さんは世界選手権にこだわってたみたいだし、まぁこのままフランス人の舞台になっちゃうのでしょうかねぇ?

2015年5月9日土曜日

ドゥカティ:2015年4月 DUCATI史上 過去最高の販売月間

Italia on Road web版からの翻訳記事

ソース:Ducati: aprile 2015 mese record assoluto di vendite nella storia di Borgo Panigale

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ドゥカティ:2015年4月 DUCATI史上 過去最高の販売月間


2015年のドゥカティ・モーター・ホールディングは最高の結果で始まった。
モーターサイクルを販売・生産を一貫して行うボルゴ・パニガーレの会社での、過去5年間の上昇傾向を確認。


7309台の顧客へのデリバリーによる、4月の月間記録は史上最高記録。前年同月比29%アップ。前回の月間最高記録は2012年5月、6500台をデリバリーだった。
2015年の最初の4ヶ月合計では、前年同期比10%増の17881台の車両を販売し、ボローニャのモーターサイクルカンパニー史上最高を記録している。

現在の目標は、2015年のドゥカティのモデルレンジを特徴付ける、スクランブラー、1299パニガーレ、新型ムルティストラーダなどの新製品の導入によって、極めてポジティブ。これらの技術的な革新は、その革新的なスタイル、技術と性能のおかげで、世界中の新規顧客と共にドゥカティスティと呼ばれる情熱的な観衆を席巻している

2015年4月は、欧州諸国で特に重要な成長を記録した。前年同月比で、ドイツ+52%、スペイン+54%、イギリス+50%、フランス+13%、そしてイタリアではスクランブラーの販売がモーターサイクル過去最高記録となる+69%。

欧州でのポジティブな傾向を確認したアメリカでの受注は、ドゥカティ最大のマーケットとなる役割を強化している。海外での2015年のニューモデル(の導入)は物流の理由により(遅れているが)、ボルゴパニガーレのより重要かつ大切な成長へ向けての目標への、楽観と信頼が近日中に来ることを保証している。


  • 2015年4月 7309台のデリバリー
  • 前年同月比+29%は記録的な水準。ドゥカティ年間10%成長の始まり
  • イタリアでの4月はスクランブラーがベストセールスになり、記録的な成長(+69%)
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昨年のセールスリザルトは、過去最高を「作った」感が否めなかったわけですが(参考:2014年のドカティ販売結果)、それに比べれば今年の1~4月期はポジティブと言ったところでしょうか。
特に、欧州市場での改善が著しいようです。欧州以外の数字が出てこないところを見ると、他の国は現時点でポジティブとは言えない結果なんでしょうね。

日本もいつものごとく、ニューモデルの投入が遅れているわけですが、ニューモデルのデリバリーが始まった時にどうなるでしょうか?





2015年2月16日月曜日

2015 FIM公認車両リスト SBK、SS、 STK、EWC 

今週末から始まるスーパーバイク選手権を前に、ようやく公認車両リストが発表されました。

リンク先:PDF注意
Listing of FIM homologated motorcycles for 2015


SBKカテゴリでは、新規公認は以下のとおり

  • APRILIA RSV4 1000 RR/RF JAN 15 – present 
  • BMW S 1000 RR JAN 15 – present (+ABS, DTC, Electronic Gear Assist, DDC, forged wheels)
  •  DUCATI 1199 PANIGALE R FEB 15 - present
  • YAMAHA YZF R1/R1M (2015 model) JAN 15 – present (R1M with forged wheels)

ニューモデルが車両公認台数の1000台が生産できるかどうかが注目のMVアグスタですが、なんと

  • MVAGUSTA F4 RR JAN 14 – present (+ 2015 Model parts updates)

という形でリストになっています…
部品のみのアップデートで公認って…どうなんだろうか
レギュレーションには、1.5で「プロダクト アップデート」が可能(部品自体に問題が生じた場合、あるいは改良されるようなケースへの対応だと思われる)であると書かれているが、以下が変更された場合には、新規にホモロゲを取得しないといけないと書かれている。

  1. 新しいエンジン番号範囲
  2. 新しい車体番号の範囲
  3. クランクケース
  4. スロットルボディ
  5. エアボックス(インジェクタ含む)
  6. フレーム:ディメンジョン(ホイールベース、キャスタ角、スイングアーム取り付け位置リアショック取り付け位置)と重量、テクノロジー
  7. シリンダー、シリンダーヘッド、カムシャフト、コンロッド、カムシャフト、吸排気バルブ
つまり、パフォーマンスが変化するような変更は、新規にホモロゲーションが必要ですよという、割と当たり前の話。
2015のMVアグスタのホモロゲーションがどうなっているのかの詳細は不明です。


Supersportの公認車両は変更なし。※画像省略



Superstock 1000 並びに Formula EWC の公認車両リストは、アプリリア、BMW、ヤマハのみ更新。ドカティは公認申請が間に合ってないんだろうな。SBKの方も、2月更新とギリギリのタイミングだし…
これについては、今月末あるいは来月に公認車両リストがアップデートされると思われます



※注)
公認車両リストにおける「end」とは、生産が終了しているモデルのこと。「present」は現在生産中のモデル。
過去のモデルで「end」が付いているモデルでも、リストに掲載されている場合は公認が有効である。
つまり、このリストに掲載されていないモデルは、公認されていない。
基本的に、公認期間は申請から5年であるが、再申請すれば延長される。




2015年2月12日木曜日

グリップのワイアリング

たまにはTipsらしい投稿を…

ツイッタのTL上でグリップのワイアリングがネタになっていたので、ちょっと解説。
ググれば色々出てきますが、流派とかあるみたいなのであくまでもその一つということで。



ワイアは、ワイアリング用として市販されているものが良いです。細すぎると撚った時に切れるし太いとなじまないので、0.6mmぐらいのステンレスワイアを使用します。
ボトルの中から引き出すタイプのほうが、なにかと使いやすいです。

ワイアーツイスターは無くても出来ますが、あったほうが楽しいです。


まず、最初にワイアを掛けます。2本で左右を縛るか、3本で縛るかはグリップの溝とかと相談ですが、3本で縛る場合は左右を先に縛ってしまうと真ん中がたるむので注意が必要です。

ワイアを掛けるときは2週させます。この時、上側の部分でワイアがクロスしないように気をつけます。クロスするとその部分が盛り上がるので、見た目がかっこ悪いです。平行にワイアを並べてください。

縛り目を何処にするかはそれぞれ流派によって異なるようですが、下側で手のひらに触れない範囲が良いと思います。下の図で赤い矢印の範囲になると思います。





ワイアを適当なテンションで引っ張りねじります。引っ張りすぎるとグリップが切れますし、緩いと意味が無いですから適当に。









大体、5~6mm残して切ります。










ここから先の作業は、ラジオペンチなどの先が細いほうがやりやすいです。







切ったら、それを半分に折り曲げるようにします。(完全には折らない)








折った先を、グリップのラバーに押し込みます。








切り残し全体が収まるように、さらに押し込んで完成です。