ツイッターだと文字数の問題と情報が散在しそうなので、たまにはブログを更新してみます。
今年の8耐は、かなり細かいルール変更があって、色々混乱しそうな予感です…
レギュレーション変更点をおさらいします。
世界耐久レギュレーション(FIM版オリジナル 英語)
http://www.fim-live.com/en/library/download/73532/no_cache/1/
レギュレーションMFJによる和訳。
http://www.mfj.or.jp/user/contents/motor_sports_info/rule-world/pdf2019/2019fim_rd_regulation.pdf
どちらも太字のところが今年の変更点になっています。
英語版はめんどくさいので、MFJ和訳版を基本に重要そうなところを見ていきます。
まず、予選
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1.13.5 レース出場資格
レースの出場資格を得るためには、各ライダーはプラクティス中に、大会特別規則に明記された最低周回数を完了していなければならない。
更に、各ライダーは、最低1回のクォリファイセッションにおいて彼の所属するグループの最も速いライダーのタイムの109%同等のタイムを出していなくてはならない。
特記:2019-2020シーズンは、最低クォリファイタイムは、当該グループの最も速いライダーの108%とする。
2020-2021シーズンは、最低クォリファイタイムは、当該グループの最も速いライダーの107%とする。
予選通過タイムは全クラス共通とする。
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チームごとの予選とは別に、ライダーごとに決勝を走れるかどうかが決められていますが、各グループ(赤・青・黄腕章グループ)ごとに、それぞれのグループのトップタイムの109%を出していないと決勝を走る資格がありません。
予選に関しては、トライアウトで参加チームが絞られているので、この足切りタイムを出すことが重要です。
ここで、最近の足切りタイムと予選グリッド順の決定方法を簡単にまとめておきます。
2012
各グループ上位3名の平均の115%
グリッド:登録ライダーの平均順
2013-2016
各グループ、各セッションの上位3名の平均の115%
グリッド:登録ライダーの一番速いタイム順
2017
各グループ、各セッションの上位3名の平均の115%
グリッド:登録ライダーの平均順
2018
各グループの最も速いライダーの110%
グリッド:登録ライダーの平均順
この辺も過去から紆余曲折がありますが、毎年厳しくなっています。
各グループの最速タイムの110%ですから、例えば2分4秒00の場合足切りタイムは2分15秒16になります。3秒とか出されると、足切りは14秒ぐらいですからプライベーターは結構も困りますよね…
次、ピット作業。ここは大きく変わります。
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1.15.5 ピットストップ<略>
ピットレーンにおけるピットストップ中、公式アームバンドの装着によって身分が明確4名のスタッフが直接マシンの作業をすることができる。この4名は他の如何なる援助も受けてはならない。ピットレーンにおいて公式アームバンド装着者のみ他を支援したり、ホイール、その他パーツや工具を受け取ることが認められる。
<略>
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ピット作業できるメカニックの人数が4人というのは従来から変わりないのですが、「いかなる援助も受けてはならない」ここが今年の変更点のポイントです。
従来は、前後にアクスルの抜き差しをする人、ホイールの入れ替えをする人が腕章メカニック(バイクに触れて良い人)で、それ以外に新しいホイールを渡したり、交換したホイールを受け取る人等が配置されていましたが、これが明示的に禁止されます。
次、タイヤ使用本数。ここ何年も紆余曲折していますが今年は決勝用と予選用で分けられます。
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2.3.6.6 タイヤステッカーの数
<略>
2回のクォリファイプラクティスセッション及びレース各チームが準備する どのタイプ、仕様、構造等、フロントまたはリア、スリックまたはインター ミディエイトタイプのタイヤ、各チーム準備される全てのタイヤはFIMタイヤステッカーによって2回のクォリファイプラクティスセッション(QP)及び レース中にマーキングされる。
1. EWCクラス、各チーム
― 8時間イベント
レース用タイヤステッカー16枚 QP用6枚 (2名のライダーチームの場合 QP4枚)
※ここ和訳版では2名ライダーの場合レース用4枚と書いてあるが誤訳。無理でしょw
2. スーパーストッククラス、各チーム
― 8時間イベント
レース用タイヤステッカー9枚 QP用6枚
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EWCに限って言えば、予選はライダーごとに1セット、決勝は1時間毎に1セット使えますね。予選の6本をどう配分するのかが鍵になりそうです。
続いてハンドプロテクター?
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2.3.14 ハンドプロテクター
ストリームライニングに追加のハンドプロテクターを装着することを推奨する。 “クイックフィット”タイプのものに限定される。ハンドプロテクターは、手の 保護を目的とするためだけのものであり、ハンドルバーの幅より突出していては ならない。すべての尖ったエッジは丸められる。ストリームライニングにハンド プロテクターを装着した場合でも、必要なクリアランスは守られなくてはならな い(図A-3を参照)。
<略>
2019年1月1日よりハンドプロテクターは義務となる。
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ここで言う「ハンドプロテクター」とはレバーガードのように見えるけど、「ストリームライニング」の装着と書かれていて謎。ストリームライニングというと、フェアリングとかの事を指すと思うんだけどなぁ… まぁ、レバーガードのことですかね?
去年の8耐以降、話題だったのがこれ。当時はFIM公認のクイックフィルバルブしか認めないということでしたが…
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2.3.15 給油
オリジナルの燃料タンクキャップは、クイックフィルタイプ(航空機タイプ)の に適合する最大2つの開口部を持つ燃料バルブに変更しなければならない。
そしてそれはクローズトシステム(閉鎖式のもの)でなければならない。同心円 状のクイックフィルバルブ開口部が認められる。
<略>
2018年9月1日より下記事項が適用される。
1 オリジナルの燃料タンクキャップは、クイックフィルタイプ(航空機タイプ)のに適合する最大2つの開口部を持つ燃料バルブに変更しなければならない。各タンクバルブまたは各スリーブまたは燃料タワーとタンクを繋ぐパイプの直径は 50.8mm(2インチ)を超えてはならない。
同軸または同心円状のクイックフィルタイプバルブシステムが認められる。クイ ックフィルフュエルバルブシステムのこのタイプの最大直径は78mmとする。同 心円状バルブの燃料移送のための開口部はオリジナルのフュエルバルブ開口部のエリアを超えてはならず、最大直径は2インチとする。(50.8mm)
<略>
2019-2020シーズンは、FIM公認フュエルバルブのみ使用が認められる。
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というわけで、公認バルブの導入は次のシーズン(8耐以後)に持ち越されています。
容器の高さ制限は、去年からタンク部分100cm、全体でも120cmというのは継続です。
次、車体回り
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2.6.6.1 メインフレームボディー
<略>
公認された車両のリアサブフレームは、変更、または改造することができるが、 デザイン、目的及びアッセンブリ―は公認された車両のパーツを維持していなければならない。素材タイプは認証を受けたものに維持されるかまたはより重量の あるものでなくてはならない。
シートセクション/ボディーワークの材質は交換することが出来るが、全ての方向に対する公認時の形状/プロフィールは維持されていなければならない。
<略>
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ここ条文も、従来わりと緩かったところですね。シートレール自体に違う目的をもたせたりデザインを変えることが明示されました。
あと重要なのが、シートセクション/ボディーワークは全方向に対して公認形状を維持しなければならない。これ、厳格に運用したらレギュレーションに合致するバイクは1台も無いような気がします。特に、市販車(ホモロゲーション車)での16とか17リットルの燃料タンクを24リットルにするのに、全方向での形状を維持するのは難しいです。従来は「原則として」というような表現で割と曖昧でしたけどね…
次、チェーンガード
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2.6.6.3 リアフォーク(スイングアーム)
<略位>
ライダーの身体の一部がチェーンの下部とリアホイールスプロケットの間に挟ま れる可能性を減少する方法でスイングアームにチェーンガードが装着されなくて はならない。チェーンガード(a.k.a シャークフィン)はチェーンとカムスプロケ ットが噛み合う部分の開口部を覆っていなければならない。
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チェーンとスプロケットの噛み合う部分(下部)が見えてちゃいけなくて完全にカバーされないとダメみたいですね。
最後、燃料タンク
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2.6.6.10 燃料タンク
オリジナルの燃料タンクを改造して、24リットルの最大容量を達成することが できるが、公認時の外観及び位置は維持されなくてはならない。しかし、ライダ ーの好みに合わせて若干の変形が認められる。フレームのアッパーラインより下 はタンクを改造する事が認められる。しかし、燃料タンクの延長部分はアッパー とロワーシートフレーム構造内に収まるものでなければならない。燃料タンクの 先端は、リアホイールアクスル部の仮想垂線を超えてはならない。
<略>
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ここもトップチームでは、結構問題になっているようです。
昨今では、重量配分や燃料が減ってきたときの重量配分変化を嫌って燃料タンクがどんどん車体後ろ側に移動しているのがレーシングバイクでのトレンドですが、いくつかのチームがそのために燃料タンク形状を大きく変えています。そもそも「2.6.6.1 メインフレームボディー」で形状が規定されていますが、タンク下側も新たに「ロワーシートフレーム構造内に収まるものでなければならない」と明示されました。
某社のワークス系チームや、ドカティのV4Rを使用するチームなどがすでにこの項について指摘され改善を求められているとのことです。具体的には、はみ出している部分に枠(フレーム)をつけてフレーム構造内に収まっている状態にしないといけないようですね。
レース前の公式車検も、数年前からFIMのスタッフがチェックしており、国内側での融通が効かないようです。
以上、簡単(?)に今年の8耐ルールの変更点をまとめてみました。